栽培にもバランスが重要!

嫌気性細菌、光合成細菌、納豆菌、酵母などの有用微生物を活用した有機農業、ステビア等のハーブを用いた有機農業、雑草を抜かずにそのまま活用した不耕起有機農業、古い綿布団を再利用した有機農業など、これらを手掛けている農家の方々は、いずれも素晴らしい米や野菜等を既に作っておられます。

しかし、これらの農法は、いずれも食物連鎖の一部を利用した農法であると私たちは考えます。

食物連鎖を活用した農業の歴史は、大変古く、牛糞や動物の血等を肥料として活用し始めたのは、1000年以上も前のキリスト時代にまで遡ります。

そして、科学技術が進んだ現代でも、土壌の食物連鎖の謎は解明されていないことが多いものの、
「すべてのものには存在意義があり、互いの関わりによってバランスが保たれる。」
という食物連鎖の大きな視点に立てば、個々の特性・存在意義の謎が解明できなくても、光、温度、土壌微生物や生物、植物との関わり等の食物連鎖網を正常化することで、植物の生長に最適な環境は整います。

そして、その成果物として、安全で美味しく栄養価の高い野菜や果物が出来るという持論により、私たちは、食物連鎖を総合活用した農法「食物連鎖農法」に取り組んでいます。

独自の栽培法「食物連鎖農法」誕生の背景

私たちが考えている食物連鎖は、人間を頂点とする哺乳類を含めた弱肉強食を指しているものではありません。植物を頂点もしくは中心とし、土壌微生物による無機物の提供や土中生物、昆虫、脊椎動物によるし尿、血、死骸等の有機物が提供されるとした食物連鎖を意味しています。

そして、この食物連鎖の外的要因は、光の波長、温度、湿度、土壌pH値、化学肥料、大気汚染等と位置づけました。
植物には、光、温度、水、空気、養分のバランスが重要です。しかも、養分以外の外的要因で、最も少ない因子に生長が支配されるとも言われていますので、そのバランスが少しでも崩れると、植物は抵抗力がなくなり、生長不良や病気にかかってしまいます。

では、どのようにすればそのバランスは保てるのでしょうか?

それは、机上論的には簡単なことです。植物は養分を土から吸収しますので、土壌の食物連鎖のバランスを整えれば良いのです。

しかし、土壌の食物連鎖のバランスを整えることは、土壌の成分や構成要素、土壌の生態系に違いがありますので、現実には難しいです。

植物の生長の仕組みとその取り巻く環境を少し考えてみましょう。

植物は、気孔より二酸化炭素を吸収し、気孔からの水分蒸発に伴う浸透圧によって根から栄養分を吸い上げます。そして、吸収する要素は微生物による、もしくは植物自身によって分解された要素…根、茎、葉、細胞生成に必要な 窒素、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の多量要素と鉄、硫黄、ホウ素、銅、亜鉛、マンガン等の微量要素、太陽光の特定の波長、水分のpH値、土中における空気濃度が植物の成長に影響を与えます。

そして、植物等を取り巻くの阻害要因としてバクテリアや細菌、酸性雨、ダイオキシン、放射能、化学肥料を挙げることができます。酸性雨は私が測定した時にはpH3.5を示しました。化学肥料は即効性のある肥料ですが、急激な土中の酸性をもたらし、その栄養分は直ぐに雨で溶脱し、土壌の有機物欠乏により、土壌の浸食や硬い土壌、最終的には砂漠化を招いてしまいます。

そこで、私たちは有機農業を5つのプロセスに分け、食物連鎖をピラミッド型に整えやすい工程を作りました。

これらの条件下で、土壌の栄養分、空気濃度、水分、細菌や生物数のバランスを正常化させ、本来の植物の生命力を引き出す独自の食物連鎖農法が誕生しました。
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